よんチャンTVがYahoo!ニュースに
3/27(金) 19:26配信

■「歯科医療の機能を備えた車」が過疎地や職場などへ出張する未来も? 歯の健康の重要性が叫ばれる中、大阪府堺市の企業が開発した“動く歯医者さん”が注目されています。歯科医療の機能を備えた車両で、将来、過疎地や職場などへ出張することもあるかもしれません。 【写真で見る】歯科医院の機能を運ぶ“動く歯医者さん”その内部は? “誰も取り残さない医療を”。その取り組みを取材しました。 ■特別養護老人ホームへやってきた“動く歯医者さん” 3月、大阪府柏原市にある特別養護老人ホーム「はくとう」で行われていたのは、新しい入れ歯づくり。通常、完成に1か月以上かかりますが、その日のうちに仮の入れ歯が仕上がります。 それを可能にしたのが、施設の前に止められた青い車両です。 取ったばかりの口の中のデータをもとに、離れた場所にいる歯科技工士がすぐに入れ歯を設計。車内に備えられた3Dプリンターで出力します。 3Dプリンターを使うことで、作業時間が大幅に短縮されるほか、これまでより精度の高い入れ歯を作ることができるといいます。 ■診察開始からたった2時間!昼食前に仮の「入れ歯」が完成 完成した入れ歯を持って、早速、利用者のもとへ向かいます。 (歯科医師)「ごめんよ、入れるよ。(入れ歯を装着して)かんでくれる?カチカチカチ、ありがとう」 診察開始からわずか2時間後、昼食に間に合いました。 (はくとう 柴谷匡哉施設長)「歯科医院まで行ける高齢者ってなかなかいなくて。治療までしてもらって、入れ歯まで作ってもらえるとなると、非常に(高齢者)本人にとってもメリット」 ■キャンピングカーのトレーラーを約500万円かけ改造「O-Gai」 歯科医師など3人体制での診療が可能 歯科医院の機能をそのまま運ぶ車両「O-Gai(オーガイ)」。名前には、“口の中の健康が全身の健康につながる”という考えのもと、AIなどのデジタル技術を駆使して新しい歯科医療を届けるという意味が込められています(「O」ral=歯、「G」eneral=全身、「ai」=AI)。
開発したのは大阪のベンチャー企業「オーガイホールディングス」。キャンピングカーのトレーラーを約500万円かけて改造しました。提携する歯科医師が出張したり、出向いた場所の近くの歯科医師が乗り込んだりして、歯科衛生士などを加えた3人体制での診療が可能です。 (オーガイホールディングス 野田真一社長)「まずここに患者に座っていただき、クリニックでいうとチェア、診療台になります。こちらが『口腔内スキャナー』といいまして、従来は歯型を取って模型を作って、そこから入れ歯を作ったりなどするんですけど、このスキャナーがあれば、患者の口の中の3Dデータ化が即時に可能になっています」 今はまだ実証実験中ですが、高齢者施設や企業のオフィスなどに出向いて治療や健診を行っています。 (参加者)「本当に近くに勤務しているので、合間で受診できるのはいいなと思います」 ■新しい入れ歯で元気になった父親を見て”歯の大切さ“を実感 社長の野田真一さんは、IT関連など複数の企業を経営しています。約3年前、歯が悪く好きなものを食べられなくなった父親に新しい入れ歯をプレゼントしたところ元気を取り戻した経験から、歯の大切さを実感し、この事業を立ち上げました。モットーは「誰も取り残さない医療」です。 (野田真一社長)「今まで歯とか口とかは見落とされがちで、なかなか命に直結しないということで、後回しになっていたと思うんですけど、むしろ口から始めることによって全身(の健康)を維持することにもなります」 ■約19万人が「簡単に歯の治療などを受けられない」現状… 2月上旬、「O-Gai」は大阪を離れ、岡山県北部の山あいの町にいました。 (野田真一社長)「ここは歯科医院ももちろんないですし、クリニックも1つもなくて、車がないといけない地域なので、最近問題になっている免許返納をすると、本当にアクセスがなくなってしまいます」 厚生労働省によると、近くに歯科医院がない地区は、全国で784地区(※2022年度)。約19万人が、簡単に歯の治療などを受けることができないのが現状です。こうした地域で「O-Gai」の有効性を実証し、自治体などに知ってもらうのが今回の目的。
■91歳・81歳の女性が患者として参加「かたいものを食べるのがとてもつらい」 患者として参加するのは、入れ歯が合わずに悩んでいるという和田美也子さん(91)と歌房洋子さん(81)です。 (歌房洋子さん)「今のところは車に乗れるから(歯科医院に)行けるんですけど、これが(車に)乗れんようになったらちょっと困る」 (歯科医師)「上あごの針金は別に気にならなかった? 」 (歌房洋子さん)「いや、気になります。気になるし、ここに食べたものが挟まるし、食べたあとにいつも外して、あれ困るんです」 (和田美也子さん)「今はね、かたいものを食べるのがとてもつらいんですよね。かたいものも気にせずにいただけるようになったら、最高だと思いますよ」 ■山間部の冷え込みで入れ歯がうまく固まらないハプニングも… 早速、口のなかをスキャンして入れ歯を作っていきます。ところが… (野田真一社長)「形にはなろうとしていたけど、冷えすぎて…。冷えすぎて(樹脂が)固まらなかったんですね」 原因は山間部の冷え込み。3Dプリンターは寒さに弱く、うまく固まりませんでした。こうした想定外のことにひとつずつ対応し、いつでもどこでも同じ医療が提供できる車両を作り上げていきます。 室内を暖めて、仕切り直すと… (野田真一社長)「できている!うれしい!うれしすぎる。めっちゃうれしい」 ■完成した入れ歯を装着して食事 91歳女性「今までと全然違う。食べられるわ!」 出来上がった入れ歯を装着し、微調整していきます。 (歯科医師)「ここにね、こんな感じで入っているんよ。だから前の(入れ歯にはあった)金具は全部ない状態」 (歌房洋子さん)「これだけ!?すごく小さい。びっくりした」 (歯科医師)「はい、かんでください。かみづらい?」 (和田美也子さん)「それはないと思います」 入れ歯を変える前は、あまりかまなくてもいい柔らかい煮物などしか食べられなったといいますが、歯ごたえのある牛肉も食べることができました。
(娘)「食べやすい?」 (和田美也子さん)「うん。全然違う、今までとはな。大丈夫、食べられるわ!」 (娘)「良かったね。本当感動する。(これまで)食べる量がすごく減っていたので」 (和田美也子さん)「こんなにすばらしい入れ歯ができるなんて」 野田さんも感無量の様子です。 ■目指すは年内の実用化「困ってらっしゃる方々を幸せにしたい」 今後もいろいろな場所に出向いて、実証実験を繰り返し、年内の実用化を目指したいといいます。 (野田真一社長)「お母さんの笑顔と言葉を聞いて、本当にほっとしたし、ちょっとジーンときましたね。やっぱりこうやって困ってらっしゃる方が世の中にいっぱいいると思うので、その方々に情報発信して、届けて、そういう方々をみんな幸せにしたいなと、正直めちゃくちゃ思いました。これからも頑張っていきます」 (2026年3月24日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『密着』より)